小笠原正卓先生

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 今回はPESCJ5期認定医の小笠原正卓先生を紹介させていただきます。

 

略歴:  2000年 奥羽大学歯学部卒業

           2000年 新潟大学大学院歯学研究科入学

           2004年 新潟大学大学院歯学研究科終了 博士(歯学) 

           2004年 新潟大学医師学総合病院義歯診療室勤務

           2007年 秋田県大館市 小笠原歯科医院勤務

           2014年 ペンエンドスタディクラブインジャパン修了

           2015年 ペンエンドスタディクラブインジャパン認定医

聞き手:ECJ事務局

・お世話になっております、早速ですが、開業地(勤務地)はどちらでしょうか?

 秋田県大館市にて勤務しております。

・現在の勤務地の以前はどのようなご経歴だったのでしょうか?

 奥羽大学を卒業後、新潟大学の大学院に進学しました。大学院では主に歯科補綴学といって、失われた歯を人工物で回復する治療の研究を行っておりました。大学院卒業後は同じ新潟大学医歯学総合病院の義歯診療室で専門治療に従事すると共に、学生さんの教育や研究にも携わっておりました。

・どのようなきっかけで、現在地でご勤務されているのでしょうか?

 現在勤務している医院は、私の父が1975年に開業した医院で、私はいわゆる「跡継ぎ」です。ですので私の目の前にはほぼはっきりしたレールが敷かれておりました。そんな中でも、大学卒業後から大学院在籍中、附属病院在籍中、いろいろな経験をさせていただきながら自分の歯科医師としてのビジョン・ミッションを考えていたわけですが、ちょうど医院の建物が老朽化してきてリフォームを考えなければいけないタイミングになったので、自分の考えてきたことを実践し、皆様のお役に立てる良いチャンスと考え、故郷に戻って仕事をすることに決めました

・なるほどですね、ところで診療体系(診療時間)はどのようになっていますか?

 月曜から金曜日までが9時から18時,土曜日は9時から12時です.日曜日・祝日はお休みをいただいております。自由診療を受診される患者様については平日の18時から20時でもご予約いただけるように体制を整えております.

・朝早くから遅くまで頑張っておられるんですね。先生がペンエンドスタディクラブインジャパン(以下PESCJ)を知ることになったきっかけと受講する経緯はどのようなものだったのでしょうか?

 ありがとうございます。先ほどもお話いたしましたが、私は大学で歯科補綴学(失われた歯を人工的に回復する治療を研究する学問)を専攻しておりました.大学病院の専門診療室でも様々な補綴治療を行っておりました。補綴学を勉強する環境としては素晴らしいところだったので、本当にいろいろなことを勉強させていただきました。しかしながら「自分の歯に勝る人工の歯」は存在し得ないと感じ.それと同時に,本来保存されるべき天然の歯が様々な理由により抜歯され人工の歯に置き換えられることも多く見てきて、そこに疑問を感じていたのも事実です.天然のご自分の歯を守ることの重要性はずっと感じておりましたが,その根幹をなす歯内療法については学生時代から勤務時代に至るまで満足のいく教育が受けられずにおり,結果として「自分の歯を残したい」という患者さんの想いに答えられず悩んでおりました.そんな悩みを何とか解決したいと,自分で様々な講習会を手当たり次第に探し,「これは!」と思うものを受講して、また悩みを繰り返している中,2012年に開催されたPenn Endo Global Symposium in Japanに参加し,University of Pennsylvaniaの歯内療法学科がリードする世界基準の歯内療法に触れる機会をいただきました.明快なる根拠を示されながら素晴らしい治療を供覧される講師陣のご講演を目の当たりにし,「これは本物だ!」と衝撃を受けました.そしてUniversity of Pennsylvaniaの大学院をご卒業なさった石井宏先生が主宰するPESCJが運営する教育プログラムが存在することを知り,「私の歯科医師人生はこれで決まり!」と決心して受講エントリーをさせていただきました.

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・PESCJを受講してみて、先生の歯科医師人生は確固たるものになりましたか?

 そりゃもう(笑),PESCJで学ばせていただいたことを自分の臨床で実践できるようになってから,私の歯科医師としての道筋がはっきりとしたように感じております.それは身につけたものの大きさとともに,我々が学んだルールに則った歯内療法が皆様に必要とされていることを,様々な場面で実感できているのが理由だと思います.

・PESCJを受講されてみていかがでしたでしょうか?

 私自身,大学院で勉強した経験があったので,論文の読み・書きには慣れていたつもりでおりましたが,研究のための論文抄読ではなく,あくまで臨床における疑問などを解決するための論文抄読が必要であり,かなりのレベルでの読み込みと,臨床に即した解釈が必要であることに四苦八苦しながら受講しました.さらに,実際に自院で行う臨床に置いても,講師陣の先生方から,それまでの治療とは比べものにならないハイレベルなものが要求され,必死に食らいつきながら受講していました.受講終了後も,一年間苦楽をともにした戦友(?)の同期生の先生方と,毎月Web上で勉強する機会を設けながら,継続した学習の場を自分たちで作っています.このような大変ありがたい環境に身を置かせていただきながら,先日受験した受講後のファーストステップである認定医試験で,合格という大変ありがたい結果をいただきました.しかし,それと同時に認定医としての責任を痛感し,さらなるレベルアップのための勉学に励んでいるところです.

・PESCJ を修了して認定医となった今、診療にどのような違いが生まれましたでしょうか?

 現在では,当院に歯内療法をご希望され来院される患者さんがたに対し,コンセプトに則った治療を提供させていただくことで,多くの患者さんの歯を救う,いわば「患者利益の提供」にお役に立てているのではないかと実感しております.さらに,PESCJ歯内療法認定医ということで,近隣や比較的遠方の歯科医師の先生方からのご紹介もあり,一般の歯科医師の先生方では難しい歯内療法にも取り組んでおります.患者さんのお役に立つだけではなく,同業の歯科医師の先生方に対してもお役に立てる存在になるべく努力しております .

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・他の歯科医院からのご紹介はどのような症例なのでしょうか?

 主に、紹介元の先生が何度治療しても腫れがひかなかったり、痛みが続く症例、また、穿孔が認められる症例や、器具の破折が認められる症例などをご紹介いただいております。

・歯内療法(根管治療)を行うにあたって特に意識して取り組んでいる点はなんですか?

 私が提供する歯内療法が,真の意味で「患者さんの利益」になってくれることを第一に考えながら取り組んでおります.基本的なコンセプトに則って治療を提供し,治療の成功率を上げるのはもちろんですが,「歯は使ってナンボ」という考え方から,歯内療法を施した歯が実際に修復され,患者さんの口の中で機能することを常に念頭に置きながら治療に当たっています.たとえ時間とお金をかけて歯内療法を行って重症の歯を残しても,その歯が機能できないのであれば意味がありません.ですので,「治療のゴール」=「患者利益」を第一に考え,患者さんとそして紹介元の歯科医師の先生方としっかりお話をさせていただきなが日々の臨床に取り組んでおります.

・印象に残っている症例を教えてください。

 30代女性.主訴:歯が痛い,専門医の治療を受けたい.既根管治療歯・根尖性歯周炎.

根管治療中に治療器具(SSファイル)が折れてしまい,根管内に残ってしまったとのことで、当院に治療の可否の判断を含めてご相談いただいた患者さんです.

 当院での診断の結果,器具を除去した上での歯内療法が必要であると判断いたしましたので,治療を行いました.治療の結果,以前よりお感じになっていた症状が消失し,修復が可能であると判断いたしましたので,患者さんには紹介元の先生にお戻りいただき,修復治療を行っていただいております.

 今回の紹介元の先生も,起こってしまったことに対して正しい対応をしていただいて患者さんとのトラブルを避けながら,我々の専門治療を上手に活用していただいたことが,我々にとって嬉しいことでした.  

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(治療前:破折器具を認める) (治療後:破折器具を除去し根管充填)

・受診される患者さんにお願いしたいことはありますか?

 特にこれといってお願いすることはありませんが、我々が提供する治療について、患者さんと我々がしっかりと情報を共有しご理解いただきたいため、特に治療前のカウンセリングに力を入れておりお時間をいただいております。いろいろ難しいお話をしてしまうこともあるかと思いますが、これも皆様の歯を守るために大切な治療の内の一つだと思います。「任せます」の一言でお済ませになることなく、皆様が受けられる治療について、ご一緒に考えていただきたいと思います。

・このページを読んでいる方に何か一言お願いいたします。

これまで担当させていただいた多くの患者さんとの会話の中で「歯は失って初めてその大切さに気づくものだ」という言葉を皆様口にされておりました.本当にそう思いますね.我々は皆様の大切な歯を救う専門医です.皆様の健康な生活のパートナーとして我々をお役立ていただきたいと思います.よろしくお願いいたします.

・本日はお忙しい所お付き合いくださりありがとうございました。

 こちらこそありがとうございました。