AAE(アメリカ歯内療法学会)体験記:新谷武史先生

2016年4月6日~9日の日程でアメリカ合衆国のサンフランシスコにて開催されたアメリカ歯内療法学会年次学術大会(AAE 2016 Annual Session in SAN FRANCISCO)に参加した。
サンフランシスコはアメリカ西海岸、カリフォルニア州北部に位置する人口80万人の都市だ。北緯37度付近にあり、日本の栃木県や福島県と同じくらいの緯度にある。平均最低気温は10℃、平均最高気温は19℃前後で年間を通して穏やかと聞いていたが、実際行ってみて驚いたことが、なんといっても昼夜の温度差だ。湿度も低いせいか日中は晴れても気持ちのよい日が多かったが、朝晩はとても冷え込みコートが必要なくらいであった。
有名な観光名所としてはゴールデンゲートブリッジやアルカトラズ島、フィッシャーマンズワーフなどがあるが、今回は学会参加がメインなので、到着日に眠い目をこすりながら、すこしだけ街並みを歩いて観光した。

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写真は、同行した先生達とのマーケットストリートのケーブルカー前での写真。天候はとても良く、日中は半袖でちょうど良いくらいであった。

そもそも筆者が今回、AAEに参加したのは、PENN ENDO STUDY CLUB IN JAPAN(石井宏先生主宰)のプログラム(以後PESCJ)の修了試験をペンシルバニア大学で受験するため訪米し、それと同時期に行われたAAE Annual Sessionにも同時に参加し、最新の歯内療法のトピックを学ぶためであった。
開業し日々の診療に追われ、気がつけば、日本を出るのも10数年ぶりで、今回久々に英会話に触れる日々となった。PESCJのプログラムでは200前後の英語文献を読み、まとめ、プレゼンテーションなどをこなし、英語にはだいぶ慣れてきたものの、会話やヒアリングとなると全く通用せず、改めて英会話の重要性を痛感する研修旅行の始まりだった。また、海外の学会参加自体が初めてなのと、2週間という長期の滞在ということで、文字通り「地に足がつかない」という落ち着かない出だしになった。

ただ、学会が始まり、パンフレットに目を通すと、Ove A.Peters、CJ Ruddle、D Rucucci 、A Tamse など昨年より一年間読み込んだ文献の著者の名前がずらりと並んでおり、興味をひく演者にマークをつけていくと以下の写真のような状態に。

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この2ページ午前中だけのタイムテーブルで、同じ時間帯にラインマーカーが多数重なっており、いかに興味深い内容や演者が多いかが想像できるであろう。
個人的な話だが、自分は洋楽が好きで、昔行ったロックフェスティバルを思い出した。その時に例えると、「Oasis」と「Radiohead」と「Red hot chili peppers」が同じ時間帯にライブをやっていて、その裏の小さいライブスペースに、有名になる前の「くるり」が間近でライブをみれるというような状態で、パンフレットをみているだけで高揚していた。どこから見て、どの時間に展示をみようか迷ってしまうような、正にフェスティバルに参加しているような状態であった。

会場の大きさは、一つのビルを全て貸し切っており、ワンフロアの大きさも、少年野球であれば同時に2試合できそうなくらいの大きさで、企業展示も全て見ることは不可能な規模であった。
PESCJ同期の先生方も、普段手に入らない器具などを色々興味深く手に取って購入し学会を楽しんでいた。

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勿論、筆者も、お気に入りのメーカーの持針器(針を持つ器具)やコンデンサー(根管充填時の器具)が、日本で購入するよりも3割くらいは安くなっており、ここぞとばかりに購入した。

今回の学会について筆者は、エンド分野におけるCBCTについての内容を中心に拝聴した。
理由は、自分のPESCJでの卒業プレゼンテーションのテーマが「エンドの画像診断」という内容で、今回特にCBCTがエンド領域でどの様に使われるべきで、どの様な展望があるのかを、最新のケースや、アメリカでのスタンダードなどを知りたいというのもあったためである。今回特に連日に渡りCBCTについての講演が多く、トピックとしても多くのエンドドンティストが注目している分野であることがわかった。
また、他の演者についても、今まで文献で読んでいた内容が、要所要所に、根拠として引用され、この一年のPESCJでの勉強の内容が、自分自身の礎になっているかを肌で感じることができた。

海外の学会に参加するのは初めてであったが、日本に留まらず世界基準の治療法と、最新の情報、そして昔から変わらず、大事な内容について触れる事ができた事は大変意義がある研修旅行であった。
また、このような機会を与えていただいた、PESCJの石井宏先生をはじめとする講師の先生方、一緒に参加していただいた同期の先生、先輩方に深く感謝の意を述べて結びとしたい。

新谷武史