AAE(アメリカ歯内療法学会)体験記:牛島寛先生

2016年4月6日から9日の4日間にわたり、アメリカ西海岸に位置するカリフォルニア州サンフランシスコのMoscone Convention Centerにて開催されたAAE2016 Annual Sessionに参加してきました。学会期間中のサンフランシスコはさながら初夏といった感じで日中は日差しが強く暑いくらいですが、私が住む九州とは違い湿気は少なく気持ちのいい天候でした。街は急な坂道やベイエリアと変化に富んでおり、レトロなデザインの路面電車やケーブルカーが走っていることでも知られる観光地として活気にあふれていました。

今回、私はPenn Endo Study Club in Japan(石井宏先生 主宰)のプログラム修了検定をペンシルバニア大学で受験するために訪米した訳ですが、同時に現在の歯内療法の潮流を肌で感じるために学会にも足を運ぶ機会を得た訳です。早々にまずは受付を済ませ、手にしたプログラムを見るとこれまでプログラム受講中に読んだ文献の著者たちがずらりと名を連ねています。複数のブースで同時進行で講演が進行するため、どれを聴くべきか悩みます。また、本学会はConvention Center全体で行われていた訳ですが、一階のホールは歯内療法に関連した企業展示会場となっており、日本ではなかなかお目にかかれない機材などもあります。私は早速、同期の先生方とあれこれ物色してみましたが、日本よりも安く買えるため財布の紐は緩みがちです。

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また、スマートフォンに対応した学会スケジュールなどが確認できるアプリもあり、私にとって海外の学会は初参加でしたが、歯内療法分野だけでこの期間、これだけの大規模で行われることに非常に驚きました。そして同時にアメリカにおける歯内療法の立ち位置と日本との差を感じずにはいられませんでした。

やはりPenn Endo受講生としては外せないペンシルバニア大学 S.Kratchman先生のCBCTを併用した豊富な臨床例の提示を皮切りに、同じく S. Kim先生のEndodontic microsurgeryのご講演などを拝聴させていただきました。これまでプロクラムで学んだPenn Endoのエッセンスとも言える部分で、自分の学んできた知識と照らし合わせながら聞くことができました。

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どの先生にも共通していることは内容もさることながらプレゼンテーション自体が洗練されており、思わず聴衆が引き込まれているのが印象的でした。それに呼応して、活発なディスカッションがなされている場面も多く、人前で話すことを得意としない日本人には新鮮かもしれません。さらに、これまで私が読んだ課題文献が多くの発表で引用されていることで、自分の知識のベースアップができている点は確認できましたが、まだまだ初めて聞く内容も多く、改めてこのような訓練も今後継続していく必要性を感じた次第です。

個人的にはC. Ruddle先生のMinimally Invasive Technologyに関するご講演が最も印象に残りました。3本のDisinfection (1.Mechanical Energy 2. Chemical   Reagents 3.Laser Activation)についての軸を中心に、過去、現在、そして未来への展望についてのお話で、企業展示でも見られたEndo Activator、またレーザーによる殺菌、洗浄に関しては文献上でも様々なデータが出ていることから、これらの副次的なシステムの今後の発展が機械的拡大の更なる補助を担う可能性を再確認することができました。また、CBCTに関する講演の多さも目につきました。画像精度も随分向上していることから今後さらに日本でも普及していくように感じます。

今後も次々に入ってくる新しい知見に対して取捨選択していけるよう、自分の知識を常にアップデートしていきたいと思います。

最後になりましたが、この場を借りて今回このような学びの場を与えてくださった石井先生をはじめPESCJの先生方、そして共に学んできた同期の先生方に感謝の意を表したいと思います。

牛島寛